【シル】マイクロプラスチックだけじゃない、プラごみ問題

サイエンス・テクノロジー

プラスチックごみの問題は、多くの人にとって身近なものだと思います。例えば、日本でもレジ袋の有料化など、プラスチック削減を掲げた政策が打ち出されています。様々な企業でもプラスチック包装がなくなったり、もしくは紙包装などに置き換わったりしています。これらにどれほどの効果があるのかはわかりませんが、世間のプラスチックに対する問題意識は確実に高まっているといえるでしょう。

今回は、プラスチックごみの中でも「マイクロプラスチック」「パイロプラスチック」「プラスティグロメレート」について、しっていきます。

マイクロプラスチック

マクロプラスチックは話題になることが多いので知っている人も多いと思いますが、今一度、現状などを振り返ってみましょう。

マイクロプラスチックとは

マイクロプラスチックとは、5ミリメートリ以下のプラスチックのことを指し、その中でも成因によって下の2つに分けられます。

一次マイクロプラスチック
ペレットやプラスチックビーズなどに代表されるような人工的に5ミリメートル以下に作られたもののこと

二次マイクロプラスチック
廃棄されたプラスチックが、自然に風化などして5ミリメートル以下の大きさになったもの

ここで、皆さんが問題に感じるのはどちらでしょうか。答えは、どちらも問題であります。

一次マイクロプラスチックは生産された時点から、どの場面で自然に放出されたとしてもほとんど回収不可能といってよいでしょう。例えば、クッションのビーズが風で飛んで行ってしまったとき、歯磨き粉のスクラブが排水口に流れていったとき、ほとんど誰もそれを回収できませし、マイクロプラスチックを自然に放っていると深く意識することも少ないと思います。
それでも、このマイクロプラスチックは二次マイクロプラスチックと同様に自然を汚染します。

一方で、二次マイクロプラスチックはそれが自然に放出される前に回収が可能です。身近な例でいうと、庭先のプラスチック製の植木鉢が風化してボロボロになる前に適切に処分することはできます。そして、ニュースなどで目にする海洋プラスチックごみも同様に風化する前に回収することはできます。
現在よく注力されているのは、この回収可能な部分を回収するという試みです。しかし、実際に流出したものを回収するというのは、たとえそれが大きくても難しいようです。そのため、流出を抑えることが必要とされています。

マイクロプラスチックはここでも発見された

現在、さまざまな国や地域のさまざまな研究でマイクロプラスチックが自然界に蔓延っている様子が報告されています。それは、かつてよくいわれていた海洋生物の体内だけでなく、食品中や大気中、人間の体内では肺や血液での発見も報告されています。

その分析によると、調査対象となった食塩39品目のうち、36品目でマイクロプラスチックが検出された

9割の食塩からマイクロプラスチックを検出:ナショナルジオグラフィック

この研究では22人から得た血液サンプルのうち、実に半数から飲料用ボトルに多く使われているポリエチレンテレフタレート(PET)が見つかった。さらに36%から、使い捨ての食品容器や多くの製品に使用されているポリスチレンが検出されたのだ。

マイクロプラスチックは、人間の血液にも潜んでいる:研究結果:WIRED

これが人体にどのような影響を与えるのかは、研究が進んでいません。今後、数年若しくは数十年にわたって検証されていくでしょう。

パイロプラスチック

パイロプラスチックについては少しなじみがないかもしれませんが、身近という点では重要であるといえます。

パイロプラスチックとは

パイロプラスチックとは、焼かれることで石そっくりの外観を持つプラスチックのこと。

新たなプラ汚染問題 石そっくりのプラスチック:ナショナルジオグラフィック

これは、アンドリュー・ターナー氏が発見したとされる新しい形態のプラスチックごみです。色や形はさまざまですが、海辺や河原、家の庭などに落ちている石にそっくりな見た目をしています。

石のような見た目をしていますが、プラスチックでできているため軽く、海を長い距離漂うことができます。そしてもちろん風化して、細かくなることもあります。

現在のところ成因ははっきりとしていませんが、どのようにできたのか推測する事はできるようです。

まだ研究が進んでいない分、どこにどれぐらい存在するかというデータもほとんどありません。

さらに、日本で発見された報告がないからといって、日本にはないとは考えられません。世界は海で繋がっていますし、見た目が石そっくりなため、実際に持ち上げてその軽さを感じないと発見することができないからです。今後は、海岸のごみ清掃だけでなく、海岸の石がパイロプラスチックかも確認しなければならないでしょう。

プラスティグロメレート

プラスティグロメレートについても、なじみがないかもしれません。ここでは、軽く概要をふれます。

プラスティグロメレートとは

プラスチックが燃えてできる新種の岩「プラスティグロメレート(plastiglomerate)」が最初に報告されたのは2014年のことだ。
ハワイのオアフ島のビーチで見つかったこの岩は、ビーチで人々がたき火をすることで生まれた可能性が高い。プラスチックが溶けて固まった形状は溶岩からできた自然の小石に酷似している。

世界の海辺に出現する新種の「プラスチック岩」の脅威:ForbesJAPAN

プラスティグロメレートも、パイロプラスチックと同様に捨てられたプラスチックに熱が加えられてできたものです。これは、溶岩が固まったものに似ていて、複数の石の隙間を埋めてくっつけていることもあるそうです。

これが分解されて、削られて小石のようなパイロプラスチックなっているのかもしれません。

現在、日本ではキャンプが流行っていると思います。火がある場所、プラごみが発生する場所ということで、そこからプラスティグロメレートが生成される可能性があります。そして、川に流されると、削られ、磨かれ、パイロプラスチックになるかもしれません。キャンプでも、プラスチックごみは自分で焼却処分せず、持ち帰り適切に処分すべきです。

参考
脱プラスチック、私たちに何ができる?:ナショナルジオグラフィック

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